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小説「イメージ2」No:44


小説 イメージ No:44
 
「何が人間として良い事なのか」
「また聞きたくなった」
「人間は自然の中から生まれた生き物です」
「そうだ。そいつを忘れて生きている人間が多い。その一番大事な事を
しっかり心に置くって話だ」
「それは自然をないがしろにしては人間は生きられないって事です」
「そうだ。それが大事なことだ」
「そこから人間として何が良い事なのかって考えるんです」
「なるほど」
「自然界には全く同じものがありません。花も木も鳥も魚も動物も昆虫も爬虫類
波も雲も人間も人間が作り出した物も全く同じものはありません。どこか違う」

「機械生産された同じ製品もですか?」
「そうです」
「例えば何処が違いますか?」
「並んだ場所が違ったり時間が違ったりします」
「なるほど」
「全く同じものはありません。それが自然界なのです」
「人の顔も違いますね。双子も何処か違いがあります」
「いっぺんに出た訳ではないですね。どっちらかが先ですね」
「そっくりさんでも全く同じではありませんね」
「芸能人に似てるからって売ってるのってやだな~」

「私も嫌ですね。要するに偽物ですから」
「それから人真似あれもやだな~」
「私も嫌です。真似に価値は無いです。本物であることに価値があります」
「オリジナルですね」
「そうです。其の点で日本は劣っています。偽物を認めていたり物真似を認め
ています」
「そっくりさんを使う方に問題アリでは?」

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「そうですね。そして其の使い方を認める方にも問題ありです」
「お笑いですが、偽物が出て来て笑っている。それって認めてるからでしょう」
「なんでそうなってしまうんでしょうね」
「拒否すれば偽物は出てこないのに」
「そうです。認めなければ良いのです。受けるって認めるって事ですよ」
「それが解らなくなっています」
「危険ですね」

「価値観の違いですが・・・物事の考え方が其処に在ると思います」
「物事を深く考えない傾向」
「そうですね」

「そんなに難しく考えない。軽くて良いって傾向でしょうか」
「それは云えていますね」
「考えたって変わらないんだから云ったって聞かないんだから云っても無駄」
「社会が悪いことにしちゃう」
「自分はどうなんだ?。どう考えているんだ?。思考す基準ってあるのか?」
「無い人多いでしょうね」
「自然から生まれた生物なんだから」
「先ず其処に帰りましょうよ」

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「外国が認めた後で日本が認める傾向は今だに続いていますね」
「よくそれで恥ずかしくないですね」
「全くです」
「そんな事を云われて腹を立てている人結構いるでしょう」
「いるでしょうね」
「自信がないんでしょう。自分で決められないって」
「最低ですがね」
「自信を持つ必要あり」

「残念だけど古い人に多いですね。戦争に負けて自信をなくしたのかも」
「長いあいだ戦争ばかりやって来ましたから其の後遺症でしょうか」
「自信をもって此れは良いんだって決められない」
「アメリカが良いって評価すると良いんだって可笑しいでしょう其れって」
「アメリカに限りませんね」
「要するに外国です」
「日本に素晴らしいものが一杯あるのに解らない。誇りに思わない」
「外国から云われて気が付いたりして」
「恥ずかしいです」

「価値観は色々あると思います。でも価値観の基準が問題ですね」
「そうですね。基準の違いでその人の価値観の姿が違うのですね」
「そうだと私は思っています」
「自然を大切に思う人思わない人」
「本物をよしとする人しない人」

「其の違いですが人間の違いで考えて見るか見ないかがあります」
「どう云うことですか?」
「人間の違いは顔だけではありません。人間には持てる感覚として5つの感覚
が用意されていますが必ずしも全部を持たせてもらっているとは限りません」
「なるほど。そうですね。見えるとか話せるとか聞こえるとか味がわかるとか」
「そうです。それを五感といいます。視覚=見る感覚・聴覚=聞く感覚・触覚=
触る感覚・味覚=味わう感覚・嗅覚=匂いを感じる感覚ですね」
「なるほど確かにうちら視覚と味覚で楽しんでいただいているんだ」
「そのうち一つの感覚でも授かってなかったらと考えるか考えないか。ですね」

「その違いを知り合うところから良いことってなんだろうと考えます」
「なるほど。其れ其れが違いを持ち合っている違いが物事を考える基準って事」
「そうです。私はですよ。そのお互いに持ち合っている違いが基準です」
「難しいけど解ったような気がします」
「人間でも世界の国々でも夫々違いがあります」
「なるほど世界になりましたね」
「違いのないものはありません。違いとどう関わるかです」

「大まかですが例えば20歳のひとは30歳の事が解りません。30歳の人は
40歳の事は解りません。飛んで60歳の人は80歳の事は解りません」
「言われてみれば確かにそうです」
「その年にならなければ解らないって在るんですよね。実際は解ったようでも
実際には其の年にならなければ其の年の事は解らないものなのです」
「それも違いの感覚ですね」
「そうです。同じと考えるか違うと考えるかです」

「堅い話になり過ぎましたか?」
「そうですね。でも、たまには良いんじゃないですか」
「簡単に言えば色々な違いを持ち合って人間同士って事なんです」
「人間同士だからどうなら良いんだろう?」
「そうですね。さすが大将は解りが良いですね」
「あっしも人間ですからね」
「私も人間です。周りの色々な人間に囲まれてる人間です」
「一人じゃないって事ですね」
「そして一人だけ良ければ良いって事ではないって事です」

「そうだな。周りも良くなくでは良いって訳にはいかないね」
「ですよね」
「それで?どうするって?」
「誰でも出来る事もあれば出来ない事もあるでしょう」
「在るもので無いものを補うってどうですか?」
「悪くないね」

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 マティス展より

「大将だってやってるでしょう。大将が握る寿司は大将じゃないと出来ない」
「みんな違うから。大将の寿司が旨いって皆んな来てる。そうですよね」
「そうですよ。大将が握る寿司が好きだからですよ」
「な、そうだろう」
「それは間違いない。他と違うから」
「そう云う違いって個性だから貴重です。尊重されるべきです」
「違いは個性」

「云えますね。自然の間違いなのか視覚を持たずに生まれて大人になった人が
これも個性って云うのを聞いたことあります。中々云えない事だと思いますが」
「福さんは色々広い範囲で色々な事を聞いて考えているんだな」
「色々知りたいですから。自分の中に出来るだけ沢山の引き出しを作っていて
其の中に色々なネタを入れて置きたいです」
「成る程ね。ネタか。ネタは新鮮で良いものが最高」
「それを大将のセンスで選んだり決めたりするんでしょう」
「そうだよ。それが一番大切な事だし、楽しみってものかな」
「私たちも人間として良い思考と行動と実現のために良いネタ探し心がけねば」

 皆が忘れているけれど福賀は3歳で両親を亡くし叔父に養育された孤児です。
それが人間はどう生きれば良いのかって真剣に考えている。
何不自由なく両親の愛に包まれて育った者が福賀のように考えもしない。
自然界に違いと云えば違いだが考えさせられないだろうか。

 自分党の中に不穏な動きが出始めている。
「会長。いつまで福賀にやりたい放題にしておくんですか?」
「早いうちに潰しとくかお灸を据えとかないと大変なことになりますよ」
「大変なことってなんだ?」
「闇雲派が潰されるって心配してるんです」

「阿保か?そんな事があってたまるか。今に躓いて転ぶあら安心しろ」
「本当ですか?なら良いんですがね」
「こないだ裏の方にどうにかしてくれないかと頼んだんですが断られました」
「なんでだ・」
「福賀には手出し無用って御触れが出てるそうです」
「本当か?」
「本当です。私がじかに頼みに行ったんですから」
「其れは不味い。旨い手を考えねばなるまい」

 時代遅れも甚だしい。
今時、如何にも怪しい黒ずくめの服装をした男二人が隠れている。
そんな事が福賀に通じないと思うところが既に勝ち目なし闇雲前総理。
しかし、自分党の中で福賀失脚の為の戦いは始まっている。

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 マティス展より

 つづく

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