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小説「イメージ2」No:52


小説 イメージ No:52

「何しろ数では絶対なんだから」
「そうだ前総理に感謝だね」
自分本位の腐りきった体質は変わっていない。
暫定内閣は数で成立した。
そして残りの期間一年が過ぎた。
そして異変は起きた。
 
「福賀さん。これからどうしますか?」
「元に戻って留守をした会社で働きます」
福賀は雪月花の専務に戻り、東西観光の社長に帰り、フランス航空の副社長に
なった。
「岩上さん。また其の内伊東に行きましょう」
「そうだね。楽しみにしてるよ。ところで福賀さん幾つになりました?」
「33になりました」
「え~33歳?信じられない。本当に?」
「ほんとうです」

 4年ぶりだろうか、福賀は家にいて6時に起き基礎トレーニングをし終えて
ナミカと朝食をとっていた。
ほとんど精進料理に近い食事だ。
「ナミカ。点字の方はどう?」
「皆さんと一緒に先生にしごかれています」
「そうか。実際に使えるくらいになった?」

「実際に使いながら勉強してるけど裏で打って表で読むでしょう」
「そうだね。凄く難しいね。両方を覚えなければならないもんね」
「そうよ。目の不自由な人は覚えるのに凄く苦労すると思う」
「だから最近は点字離れって話も聞く」
「それでも、教科書はやっぱり点字や記号でしょう。覚えなければならない」
「教科書の点訳なんか大変でしょう」
「そう。大変で腱鞘炎を起こす人も沢山居るのよ」
「皆んな夫々助け合ってるんだな」
「そうね。ボランティアの力が凄く大事です」
「解る。凄く解る」

「手話の方は?」
「手話も難しいけど、何とか話せるようになって来たわ」
「僕も手話の方は先生と何とか話せるようになった」
「そうね。そんな感じだわ」
二人は手話で話し合っている。
「お疲れ様でした。少しは休めますか?」
「う~ん、どうかな?」
「その感じでは休めそうもないわね」
「何かスッキリしないんだよ」
「みたいね」

 パソコンが熱くなっている。
最近三原色(黄・緑・赤)の丸がくるくる回る事が多くなった。
動き出すと良いんだけどそれ迄が大変。
気長に画面が変わるのをじっくり待たないとやり直しをさせられる。


「今度でイメージを形にしたいと思ってる」
「どうぞ。共に白髪になるまで楽しみにしてるから思い切ってしてください」
「有難う。ナミカ」
「おじいさんとおばあさんで楽しく暮らしましょう」
「寿司と温泉だったから肉系を楽しみたいな」
「私はそうね。お寿司と温泉かな」
「良いところありますよ」

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 そんなところに又々電話が入る。
「福賀さん。みんなの党の大海です」
「どうしたんですか?」
「新しい党の事でお会いしたいと思っています」
「う~んと、そうですか。私が反自分党の連中と会ってる情報が入った?」
「はい。入りました。お願いします。お休みのところ申し訳ありますんが」

「休ませてもらえないみたいだ」
「行ってらっしゃい。気をつけてね」
「解った。ナミカも気を付けて」
「葉山の父が身体に気を付けてと云っています」
「有難い。充分気を付けますと云っておいて」
また福賀は出掛けなければならない。

 どうしても密な話は信用ができる福寿司って事になってしまう。
「えらっしゃい」
「ご無沙汰。あと一人来るから」
「お疲れさま。また何か始まるのかな?」
「そうなるかな。大将。今日はちょっと相談事で此処を使わせてもらう」
「そうかい。どのくらいなんで?」
「対でだから1時間位かな」

「あいよ。其の後だね。行くのは?」
「そうですね。よろしく」
みんなの党の大海が入って来た。
「えらっしゃい」
「福賀さん。大海です。良いお店ですね」
「大将。ちょっと座敷を借りるね」
「どうぞ」

 此処から新党が動き出す最初の話し合い。
「福賀さん。貴方を中心に一つにまとまって事にあたるのが良いと思います」
「中の人たちの気持ちはどうなんですか?」
「今日こちらで福賀さんとお会いするのは中の気持ちを伝えるためでした」
みんなの党の総意は福賀前副総理の一派と一緒になって新しい党を作り福賀に
党首になってほしいと云う話だった。
「どうでしょう。新しい党を福賀さんのグループと私たちのグループを一つに
して自分たちの為ではない国民のための真の新党を作りませんか。福賀さん」

「大海さんとみんなの党の皆さんの気持ちが決まって居るのでしたら一緒に
やりましょう」
「其の時は福賀さんが党首になっていただく事になりますが」
「良いでしょう。なりましょう」
「では、これから私のグループが集まっている伊東のホテルに行きましょう」
「大将!」
「用意万端整ってるよ」
「女将!」
「OKですよ。もう直バスが来ますよ」

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 まだ宵の口で6時ちょっと過ぎ。
「福賀さん。これはどうなって居るんですか?」
「伊東の山海ホテルでしょう。そこは私の常宿で此処は其処に直通のルート
になってるお店なんです」
大将が福賀が来たら店の一泊温泉旅行で山海ホテルになってると説明する。
「え!じゃあ山海ホテルに誰が決めたんだろう?」
「誰か私のルートをしっている人が決めたんでしょう」
「誰か?」
「多分、松竹梅子さんだと思いますよ」

「そうか。そうでしたね。松竹が云っていました。福賀さんの戦略講座を
受けたと。なるほど。男女機会均等ですね」
「そうです。兎に角、絵に描いた餅ではなく実際に形にして行きましょう」
「それは当然な事ですが現実には大きなテーマになりますね」
「もたもたしていられません。時代的にかなり遅れています。イメージの
鮮度がどんどん落ちて行きます」
「そうですね。頑張りましょう」

 バスが来ました。
「いつも東西観光をご利用いただき有難うございます。お店のお客様から
乗ってください。おお社長もお友達とご一緒ですね。珍しい」
もちろん運転は車が担当で社長ゆずりの安全運転ガタともゴトとも云わない。
「福賀さん此のバスの乗り心地良いですね」
「有難うございます。これが我が社の売りでして社長のイメージです」
「なるほど福賀さんのイメージですね」
「日本もこんな素晴らしい運転で楽しく過ごせると良いですね」
「そこに来ましたか。って事はひょっとしてみんなの党の大海さん?」
「当たりです。よろしくお願いします」

 いつもの様にSAで休憩をとって伊東温泉・山海ホテルに到着。
「いらっしゃいませ。お疲れ様です。前副総理お久し振りです。こちら大海様
皆さんお待ちかねです。どうぞ先ずは大広間にご案内いたします」
「お世話になります。突然で申し訳ありません」
「いえ。もうかなり前にご予約をいただいたいます」
「ほんとうに?」
「はい。松竹さんからです」
「そうでしたか」
「福賀専務さんの方の皆さんも先ほどお着きになりました」
「そうですか。お世話になります」
「大変な数の皆さんですので此処だけでは足りません。他のホテルに頼んで
おきましたのでご安心ください」
「有難う」

 大海は松竹の手回しの良さに感心していた。
「福賀さん。驚きました。こんなに手際良くは私には出来ませんでした」
「出来る人がやれば良い事です」
「大海さんは私に会っていただく役割だったのでしょう」
「そうでしたね。これからが楽しみです」
「楽しみましょう」

 つづく

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