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小説「イメージ2」No:29

イメージ No:29

一つの事件が福賀に様々な今までにない繋がりを生み出す。
その後、パリに戻った福賀は仕事の下準備をして中国に飛んだ。
政府高官と会って会社関係の話をした。
福賀が学生時代に中国河南省嵩山少林寺に入門して拳法を習得した時に師事
した高僧のコネが政府高官に(官僚)につなっがった。

 そして福賀は日本に帰って来た。
「パリの方の話は整いました。中国には工場と出店の準備も出来ました。後は
それぞれの契約が残っているだけです」
これからは、月前半を日本で、後半をパリを拠点に仕事をしたいと社長に告げ
てお願いした。
「では、役員会を開いて了承と協力を得るようにしましょう」
「よろしくお願いします」
社長の呼びかけで各取締役の面々が役員室に集められた。
「ありがとう。ご苦労様でした。福賀専務に動いてもらって助かります。そう
そう、次は専務が考えていた女性の役員を増やす件ですね」
「そうです。ご協力をお願いします」
「大変素晴らしい思索の実行だと思います。我々に異議はありません」
「どちらかと云うと大賛成です」
「ご理解ご賛同いただき有難うございます。さっそう進めたいと思います」
「では、次の役員会までに新しい役員を決めるようにしてください」
「出来たら社長に人事権がある事ですし、社長承認で人選を私に任せて欲しい
と思いますが、如何でしょうか?」
役員達がうなずき合っている。
「福賀専務に人選をお任せいたします」
「有難うございます。では人事部長に何人か候補を上げていただき私の上げた
候補をつき合わせて絞って次回役員会で紹介出来るようにいたします」

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 雪月花の中では課長・部長職が男女半々になり始めている。
次は取締役に女性を半々にしていこうと社長と話し合った福賀は外国に合同の
会社を作ろうとしていて又フランスに飛ばなければならない。
「少し外国を廻って来たいと思います」
「外国は何処へ?」
「パリを拠点にしてヨーロッパとアラブ圏と中国」
「行ってらっしゃい。いい話を楽しみにしています」
役員室から部屋に戻ると秘書の海辺から電話が掛かってきた。
「パリ航空のキキさんから電話がありました。いつパリに行かれるかお電話を
いただきたいとの事でした」
「解りました。その前に女性の取締役を決めたいので人事部長を呼んでください」
「キキさん?福賀です。早急にしなければならない仕事があって2・3日後にパリ
に行きたいと思っています」
「解りました。予定が決まりましたら教えてください。お待ちしています」

「海辺さん、ちょっと来てください」
「参りました。何かご用でしょうか?」
「初めに人事部長を呼んでください。その後、海辺さんから色々感触を
聞いている3人を呼んでもらいます」
「え、此処にですか?」
「何か?」
「温泉に行かないのですか?」
海辺はしまった何で温泉なんて云ったんだろうと思ったが遅かった。
「え!、温泉。5人と貴女を連れて良いですね。久しぶりに行きますか?」
「え?行くんですか?」
「貴女が温泉に行かないかって言いませんでしたか?」
「はい。云いました」
「そうでしょう。行きたくないんですか?」
「行きたいです」
「そう、じゃ~久し振りだし行きましょう」
「本当ですか?」
「マジですよ」
「いつでしょうかか?」
「今日です」

人事部長が入って来た。
「忙しいところ申し訳ありません。新しく女性の取締役を増やす事になったので
人事部長に候補をリストアップしていただきたいのです」
「いよいよですね。解りました。直ぐリストアップしてお届けします」
福賀はそれぞれの能力を尊重している。
福賀は秘書の海辺に協力してもらって自分なりにリストアップしてみた。

人事部長からメールで名簿が送られて来た。
こちらから3名、人事部長の名簿から2名を決めた。
役になる実力があって其の任に向いているか向いていないか。
役に食われてダメになっては本人の為にならない。
要は取締役で活き活きする人材だ。
決まった5人に電話して6時半ごろ銀座の福寿司に来てくれるように秘書の海辺に
連絡を頼んだ。

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温泉と云ったら何で福寿司なのかと海辺は不思議に思った。
私は温泉に行きたいと云っただけなのに。
福寿司に専務が行けば伊東温泉一泊旅行になってしまうのだ。
だったらあれになるのは当然じゃないですか。
「海辺さん何考えているんですか?5人に一人づつしっかりOKを取ってください」
「はい、解りました。福賀寿司に7時半ですね」
「何云っているんですか。福賀は私です。福寿司ですよ」
「済みません。福寿司さんですね。福寿司さん以外にも温泉ありますが」
「福寿司は久しく行ってないから。あ!温泉行きたくないんじゃない?」
「いえ、行きたいです。温泉入りたいです」
「本当に?取締役の話もしない。温泉行きも5人には云わないで後はなり行きです」
「はい、云いません。云える訳ないでしょう」
「何かI云いました?」
「いいえ、何も云っていません」
新しい取締役も大変だな~、大丈夫だろうか?海辺は心配だ。
「福賀専務がお寿司を一緒にどうかと云っていて良かったら6時半頃までに銀座の
福寿司さんに来てくださいとの事です」
「え!あの福賀専務が私にお寿司をご馳走してくださる。何でだろう?」
「日頃のご苦労を労いたいと云われています」
それぞれ現在は部長だから其れもありかと納得したようだ。
「解りました。海辺さんも一緒ですか?」
「はい、私も6時半少し前に福寿司さんに行っています」
「OKです」

「いらっしゃいませ。飲み物は日本酒にしますかビールがいいですか?日本酒かな」
女将が親しげに日本酒を勧めて来た。
それ程の待ち時間ではないし後の事もあるので海辺が気を効かせて。
「日本酒にしましょう。良いですか?」
それぞれが頷きあった。
「突然の呼び出し、まさかお寿司でお説教かな~?」
「それはないでしょう。皆んな頑張っているし」
日本酒が運ばれてくる。
「わ~美味しい」
「専務のお好きな久保田万寿です」
「さすがね」
「そして此処が専務のお気に入りのお店なのね」
「海辺さんは専務と来たことあるの?」
「はい、一度だけ専務付きの秘書になって間のない頃」
「そうなんだ」
「何かずるいって感じするな~」(笑)
「申し訳ありません。それも仕事ですので」(笑)
「秘書としてそれも仕事なら此れも仕事ってこと」
かすが選ばれし女性部長の面々だけど此れからがどうなるか読めるかな。

「えらっしゃい」
福賀専務が暖簾を分けて入って来た。
「奥でお待ちですよ」
と女将が云いながら大将に視線を投げて表に出て暖簾を取り込んでいる。
暖簾を持って戻って来た。
さあ~福賀劇場の幕が上がった。
その動きを見て5人は何がどうしたのかと騒ぎ出した。
「女将さんがのれんしまっちゃたわよ」
それはお店の営業はおしまいって事ですね。

「皆さん今日は店の伊東温泉一泊旅行になったのでお店はお終い。行きたい
人は付いて来て良いよ。心配かけないよに連絡して、女将が渡す紙に名前と
住所と連絡先電話番号を書いて渡してね。行けない人は気をつけて帰って又
来てね。今日のお代はいりません。また来てね。待ってるよ」

「専務、私たちはどうなるんですか?」
「あちらでゆっくりお話を伺いましょう」
「やっぱりね。どうも普通じゃないと思っていました」
「専務!何か良くない事を企んでませんか?」
「そんな事はありませんよ。良い事は考えていますが」
5人は顔を見合わせて首を傾げた。
仕方がないと心を決めて夫々が連絡先に電話して了解をとった。

「これからどうなるんでしょう?」
「さ~ぁどうなるんでしょうね?私にも解りません」
「そんな~、海辺さんは経験者でしょう?」
「いえ、前と同じかどうか解りませんから」
「そうか。そうよね」
「福賀専務のことだから」
「いつも白紙でいるしかないのね」
「そうですね。それしか無いと思います」
まあよく出来ていて此れからが凄く楽しみになって来ました。

「いつも東西観光をご利用いtだき有難うございます。バスが来ました。
お店のお客様から乗ってください」
「此方こそいつも無理を云って申し訳ないです。専務が専務だからゴメンね」
「解っていますよ。女将さん」
さ~ぁ久しぶりに温泉だ。

 つづく

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